紐を用いた中国伝統工芸「中国結び」の作品です。今回も私の日本名と中国名に共通する漢字の「春」に拘ってみました。酢漿草(かたばみ)結びを中心に、団錦(だんきん)結び、盤長(ばんちょう)結び、双銭(そうせん)結びなどを組み合わせました。「春」の中にはお日様だけでなく、花や蝶もこしらえました。それぞれの「春」はおよそ6メートルの紐1本を使っており、よく見ると「人」という字が無数に集まってできているのです。たくさんの人を集まり、つながり、温まり、心身を楽しませる「春」に私はなりたい。そんな思いを表現してみました。
ARTIST
長江春子(胡春平)
日本人母と中国人父の間に生まれ、15歳まで中国で育ちました。日本に移住後、日本語や日本文化の習得に苦労したり、学校でいじめられたり、アイデンティティに悩んだりしました。大学では日本語教育を専攻し、新卒でJOCVとして中国に赴任。それ以来、日本と中国、日本と海外の若い世代間の交流、日本国内の多文化交流に取り組んでいます。自身の多文化体験が若い世代の学びと交流の場づくりに役立つことを願い、ヒューマンライブラリーや自著『小春のあしあと』(a-Nest 出版、2021、Amazon)でも紹介しています。