近年、世の中は、国や人種、政府においてもすべて幻覚のように曖昧である。それは、何か非人間的な力によってコントロールされているかのようで、まるでマジックリアリズムのように感じられる。この「誰も信じられない、何にも頼りにできない」時代で彷徨っている無力感、不条理を、『西遊記』の内容 から新しいマジックリアリズム的な物語として紡ぎ出すと試みたい。
ARTIST
INHO
2014年来日、2018 東京造形大学絵画専攻卒業、柳 幸典氏に助手を経て、現在東京藝術大学先端芸術表現科大学院在籍、貧乏、ポストモダンヒッピー、ポストモダンジプシー、ヤバそうな、なんも出無さそうに… なんでも出来そうな、ヤバい人かも… INHO は芸術が人間を「人間」にするという効果を信じている。その信念に基づいて、今の社会に対する鋭い問題意識を持つ、人と人の間を繋がっている「連帯関係」という観点に沿って、作品の制作を通じて、眼下時代背景としての「文化の差異性」あるいは「矛盾だらけ、回答がない時代」について知識と感性を深めている。そしてそうした差異が何らかの形でよりよく共存する可能性について探るとともに、芸術作品が私たちの社会にアプローチができるだろうことによって、社会的なイデオロギーとして本当に作用しうるのかを実践的に答えを探している。