「不老不死、食いたいっすねぇー」
桃は中国文化において不老長生のシンボルであるが、特に蟠桃は道教の女神・西王母が天界で育てる桃であり、食べれば不老不死が授かるとされた。『西遊記』には、孫悟空が蟠桃を盗み食いした挙句、天界の神仙らと大立ち回りを演じる場面がある。
この作品は、世間からのさまざまな誘惑を象徴し、一方で、食べっちゃういけないという矛盾的な両儀性も表している。
ARTIST
INHO
INHO、本名 呉 胤鋒(クレ インホウ)、中国大連生まれ、2014年来日、2018年東京造形大学絵画専攻卒領域卒業、2023年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了、2023年より学科に教育研究助手。
INHO は芸術が人間を「人間」にするという効果を信じている。その信念に基づいて、今の社会に対する鋭い問題意識を持つ、人と人の間を繋がっている「連帯関係」という観点に沿って、作品の制作を通じて、目の前、時代背景としての「文化の差異性」あるいは「矛盾だらけ、回答がない時代」について知識と感性を深めている。そしてそうした差異が何らかの形でよりよく共存する可能性について探ると共に、自分世代の時代的な位置的に記号を探しながら、芸術作品が私たちの社会にアプローチができるだろうことによって、社会的なイデオロギーとして本当に作用しうるのかを実践的に答えを探している。